Neptune's Staircase ネプチューンの階段
イギリスでは18世紀から19世紀にかけ運河が非常に発達した。19世紀半ばからは鉄道にとって代わられるが、20世紀後半からはレジャー用として復活し、
現在数千マイルもの船舶運河がグレートブリテン島中を巡っているという。
運河の発展に伴い技術革新が進み、谷を渡るビアダクトや山を貫くトンネルで水路を短縮したり、ロック(Lock 閘門)やボートリフト(Boat Lift)により高低差を解消できるようになった。
ボートリフトの一つはこの旅の5月28日に訪れた回転式ボートリフトのフォルカーク・ホイールであり、
もう一つはリバプールの近くにアップダウン式のボートリフトがあるという。いずれ訪ねてみたい。
フォートウイリアム(Fort William)のリニ湖(Loch Linnhe)とインバネスのビューリー湾(Beauly Firth)間の100kmを結ぶ
カレドニアン運河(Caledonian Canal)はその間にロヒー湖(Loch Lochy)、オイッヒ湖(Loch Oich)、
ネス湖と3つの湖がある。それぞれの間に高低差があり、これを結ぶ運河には合計29基ものロックがある。1803年に出来たものだ。
中でもフォートウイリアムの北のバナビー(Banavie)村に8基のロックが階段状に連なるネプチューンの階段なるものがあるという。500mの間に8つのロックがあり、
約20mの高低差を解消する。8つのロックを通過するには1時間30分を要するという。勿論イギリスで最も長いロックだ。
沢山撮った写真で8基のロックをイメージしていただける物がなかったので"Flickr"の写真をお借りした(右上)。
拡大写真はFlickr。
もう一つ面白いことはネプチューンの階段の南を通るA830と"The Jacobite steam train"の鉄道の鉄橋が船が通る時、回転して水路を開けることだ。
A830の"Banavie Swing Bridge"と鉄道の"Banavie Railway Swing Bridge"だ。さしずめ、船の踏切と言ったところだ。ここに至った時、随分長い渋滞に出合ったのだ。
たまたま船が通過し、踏切が閉まったことによる渋滞だったのだが、気が付いた時には時すでに遅く、写真撮影のチャンスを逃がした。そこで"About Lochaber"の写真を借用した(右下)。
拡大写真はAbout Lochaber。
写真の左の手前の白い欄干がA830の鉄橋、奥のトラス橋が鉄道橋だ。船が通過すると右にスイングして、船の右側に見える道路や線路とドッキングする仕組みだ。
前置きが長くなったが、ロックにしろ、ボートリフトにしろ、ビアダクトにしろ、こういう構築物が殊の外好きなのだ。あしからず。
さて、自前の写真でロックの上りを説明しよう。ロックを開け、水位を下の水路と等しくし、ボートをロックの中に入れる。写真の場合は人がロープで牽引している(写真下左)。
次に、下のロックを閉じる(写真2枚目)。続いて、上のロックを開け、下の水路と水位を等しくする。そして、ボートを上のロックに移す。これの繰り返しで上って行く。
1つのロックで2m以上上がるのが、岸壁の水に浸かった色の違いから理解いただけるだろう(写真3枚目)。下りはこの逆の操作が行われる。
閉じたロックの上は通行できるようになっている(写真4枚目)。
係留されていたボートの中に”風水”という名前の船があった。イギリスでは今漢字がブームのようだから、こんな名前も付けるのかもしれない。
あるいはカナルボートを持っている優雅な日本人がいるのかもしれない。運河の制限速度は時速6.4kmだから100kmのカレドニアン運河を渡るには、
3日は掛かるだろう。何とも優雅なホビーだが、私には合わない。
ロックの開閉は、今は電動だが、当初は手動だったのだ。その時代の巻き揚げ機(capstan)が今も運河の脇に残っている(写真2枚目)。
四角い4つの穴に棒を差し込んで4人で回したのだろう。
ボートをもやう杭も同じ色で塗られている。例のフランス人マダムがこれに座り長い脚を組んでカメラに収まっている。様になる。
言葉を交わし「またどこかでお会いしましょう」と別れた後、妻が同じポーズをしたが・・・。多くを語るまい(写真3枚目)。
次の目的地はイギリス最高峰のベンネビス(Ben Nevis) 、といっても高々1,343 メートルなのだが、 この麓付近にゴンドラがあり650mの高さまで運んでくれるという。
あの山が最高峰だろうか? ゴンドラへの期待が募る。
Address | Corpach, by Fort William |
Telephone | 01463 725500 |
Web Site | Neptune's Staircase |
詳細はWeb Siteなどでご確認ください。
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